和尚のひとりごとNo1124「法然上人一代記 52」

52.勝尾寺より京へ

法然上人は勝尾寺住僧の為に法衣を寄進し、また一切経を施入いたしました。
皆の喜びといったらなく、香をたき散華して迎えたという事です。
さて上人のわび住まいは勝尾寺の2階にあった二階堂でありましたが、ある晩夢中に再び善導大師さまが現われました。杉戸にそのが映ったといわれています。善導大師は浄土へ往生する為の全ての経文、書物と守るべきを法然上人に
授けたという事です。
この時の上人の想いは如何ほどか、善導大師の御教えをその身に確かに相承したとの思いを強くされたに相違ありません。
そうして4年が過ぎ去りました。上人にとっては風光明媚この上なく、念仏に深いゆかりのある勝尾寺での滞在は快いものであった事でしょう。
「柴の戸にあけくれかゝるしら雲を
いつむらさきの色にみなさん」
空に去来する雲を見ながら、浄土往生の奇瑞である紫雲の到来を想う上人の心
境であります。
そしてとうとう上人の帰洛が許されることになります。後鳥羽上皇が石清水八幡宮にて神託を受けた事がきっかけでした。実はこの時、ここぞとばかりに上皇に法然上人の帰洛を願い出たのは九条兼実の遺志を継いだ中納言の藤原光親
でありました。
建暦元年(1211)上人は京に入りかつての吉水の庵に帰ります。以前の庵は荒れ果てていたといいます。