和尚のひとりごとNo1112「法然上人一代記 41」

41.九条兼実

法然上人を慕(した)いそのお念仏の教えに心惹かれ、上人に帰依した人々は、実に老若男女を問わず、また様々な階層、あるいは貴賎貧富を問わず各方面に渡っていました。その一人九條兼(くじょうかね)実(ざね)は藤原北家は関白、藤原忠通(ただみち)の六男として生を受け、後には摂政、さらに太政大臣に昇り政治の表舞台にて活躍しましたが、建久の政変により失脚を憂き目にあい、やがて四十一歳を数える頃より法然上人と結縁しその教えを受けるようになったといいます。その後事あるごとに宅に招き説法を請い、あるいは幾度も法然上人の元で授戒を受け、念仏往生についての信を深めていくのでした。
ついに建仁元年(一二〇一)には五十三歳にして出家得度を果たし、法然上人の弟子となります。