和尚のひとりごとNo1095「法然上人一代記 24」

24.西山をあとにし吉水の草庵へ

遊蓮房の見事なる正念往生を看取(みと)ったのち、法然上人の足取りは詳しくは記録に残っていません。しかしながらこの西山広谷の地、湿地であり冬は寒く積雪もあり、反対に夏はじめじめと蒸し暑い山中でありました。あるいは遊蓮房が若くして亡くなったのもこの地の暮らしにくさに起因していたのかも知れません。
やがて法然上人はこの地を離れ、京の都へ移ることに心を決めました。神宮寺(じんぐうじ)加茂(かも)の河原屋にて念仏を称えたり、東山の小松殿、嵯峨の二尊院などを転々としましたが、最終的にここぞと決められたのが粟田(あわた)の青蓮院(しょうれんいん)境内に位置する東山吉水の草庵でありました。

吉水にて開宗