和尚のひとりごとNo1110「法然上人一代記 39」

39.念仏のありがたさ

問答は一昼夜にわたり様々なる議題が論議され、名だたる学僧たちが投げかける数々の論難にも法然上人は全てお答えになりました。
登壇した中には、高野山の明遍(みょうへん)僧都(そうず)、笠置の解脱房貞慶(げだつぼうじょうけい)、栂尾(とがのお)の明恵(みょうえ)、天台の智海をはじめ、先に法然上人に帰依していた俊乗房重源も50人の弟子たちを引き連れて来ていました。
法然上人は中国の道綽、善導による浄土一門の教えを勧められました。
「従来の法門は仏果を得るまでの様々な道があり、それらに応じた様々な段階があるが、わたくしの如き修行もままならず学問も足りない頑愚なる者はそれらによっては救われない。
しかしながら善導大師が勧められる仏の本願の力によって往生する法門であれば、知者であろうと愚者であろうと必ず往生させて頂ける。これこそが念仏一行の法門なのである」
これを聞いた顕真は香爐を手に立ち上がると、本尊仏のまわりを高声なる念仏を称えながら行道しました。

ご本尊の阿弥陀如来像