和尚のひとりごとNo1091「法然上人一代記 20」

20.法然上人遊蓮房を訪ねる

法然上人はこの遊蓮房のことを人づてに聞き知っておりましたが未だ会った事はありませんでした。黒谷の地にてお念仏の教えこそが凡夫を救う道であることを発見し、いわば念仏に開顕(かいけん)した法然上人は、すでに独り念仏修行に徹していた遊蓮房に会い、お念仏の教えの証(あかし)を得たいとの思いを強くされていたでしょう。
さて比叡の山を下りる決心をした法然上人はその足で広谷に向かいます。時に法然上人43歳、若き念仏者に会い、実際の念仏生活に触れて学びたいとの気持ちもあったに違いありません。
仏が約束された往生への道、それが念仏一行であるならば、あとは実践あるのみであります。そして遊蓮房はその先(せん)達(だつ)であります。