和尚のひとりごと№2220「鎌倉法語集」29
和尚のひとりごと№2220「鎌倉法語集」29

第七:助けたまえ阿弥陀仏
『決答(けっとう)』に云わく、先師(せんし)鎮西の定言(じょうごん)に云(い)わく、助(たす)けたまえ阿(あ)弥(み)陀(だ)仏(ぶつ)と云云ある時(とき)、予(よ)にしめして云(い)わく、おおよそ諸師(しょし)の習(なら)い、皆(みな)最要(さいよう)の一言(いちごん)あり。善導(ぜんどう)は本(ほん)願(がん)念(ねん)仏(ぶつ)、恵心(えしん)は因(いん)明(みょう)直(じき)弁(べん)なり。弁阿(べんな)は助(たす)け給(たま)え阿(あ)弥(み)陀(だ)仏(ぶつ)と心(こころ)にも思(おも)い、口(くち)にもいうなり。
【訳】
『決答授手印疑問鈔』には次のように説かれています。先師聖光上人が常に仰った言葉に、「お助け下さい、阿弥陀仏」というものがあります。ある時、聖光上人は私良忠にこうお示し下さいました。「おおよそ、高僧達がお残しになったことの中には、必ず重要な教えがあります。善導大師は本願念仏、恵心僧都源信は因明直弁です。私聖光は、お助け下さい阿弥陀仏と心に思い、口でも言うことです」と。
『決答(けっとう)』
『決答授手印疑問抄』二巻。良忠述。聖光上人の『授手印』について在阿が抱いた疑問に対して良忠上人が答えたもの。五重伝書のうち四重・証を明かす書である。
恵心(えしん)
恵心僧都源信。平安時代中期。因明に通じ浄土教を宣揚。法然上人帰浄のきっかけとなった『往生要集』は厭離穢土欣求浄土を説き中国でも評価された。
因(いん)明(みょう)直(じき)弁(べん)
「因明」は仏の本意ではなく付随的に説かれた行、「直弁」は本意の行である念仏のこと。『往生要集詮要』に説示される。
※大本山光明寺さまより発行されている『鎌倉法語集 良忠上人のお言葉』より再掲引用させていただいた内容となります。
