和尚のひとりごと№2194「鎌倉法語集」4
和尚のひとりごと№2194「鎌倉法語集」4
第二:至誠心①
相伝(そうでん)の義(ぎ)に云(い)わく、『観経(かんぎょう)』に云(い)わく、若(も)し衆生(しゅじょう)あって、かの国(くに)に生(しょう)ぜんと願(がん)ぜば、三種(さんしゅ)の心(こころ)を発(おこ)すべし。すなわち往生(おうじょう)す。何等(なんら)をか三(さん)とす。一(ひと)つには至(し)誠(じょう)心(しん)、二(ふた)つには深心(じんしん)、三(みっ)つには回向発願心(えこうほつがんしん)なり。三心(さんじん)を具(ぐ)する者(もの)は必(かなら)ずかの国(くに)に生(しょう)ず。この三心(さんじん)は念仏(ねんぶつ)の安心(あんじん)、往生(おうじょう)の正因(しょういん)なり。その意(い)を知(し)りて念仏(ねんぶつ)を行(ぎょう)ずべし。

良忠上人(光明寺蔵)
【訳】
良忠上人から相伝された教えは以下の通りです。『観無量寿経』には次のように説かれています。「誰であれ、かの阿弥陀仏の国に往生したいと願う衆生は、三種の心を発すと、必ず往生する。では何が三種の心かといえば、第一に至誠心、第二に深心、第三に回向発願心である。この三心を具えた者は必ず、かの阿弥陀仏の国に往生するのである」と説かれています。この三心は念仏を称えるうえでの心遣いであり、 極楽に往生するための原因です。その真意を知って念仏を称えるべきです。
『観経(かんぎょう)』、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』
伝畺良耶舎(きょうりょうやしゃ)訳。「浄土三部経」の一つ。サンスクリット語原典やチベット語訳は存在せず、その成立について大きく、中央アジア成立、中国成立、両者の折衷説が提唱されている。無量寿仏(阿弥陀仏)とその仏国土である極楽世界の様相を観察する方法が説かれている。釈尊出世の本懐、すなわち散善の機根(凡夫)が念仏により往生できる事を説く。
※大本山光明寺さまより発行されている『鎌倉法語集 良忠上人のお言葉』より再掲引用させていただいた内容となります。