和尚のひとりごと№1209「聖光上人御法語後遍十六」

和尚のひとりごと№1209「聖光上人御法語後遍十六」

 

これこそ念仏者の大切なる事よ。是れよく習うべき事にて候。
一切の行は所期(しょご)を思いつめてこそ行ずれ。人ことになにとも思わで念仏申すは悪(あ)しきなり。念仏三味発得(ねんぶつざんまいほっとく)せんこそ所期なれ。

 

念仏者の大切なること

述べ来るこれこそ念仏者にとり最も尊重すべき事である。これこそよく習学すべき事である。
すべての修行はその目的を思い定めて実践すべきである。もし人がそのような思いも何もなしに念仏を称えるならばそれは避けるべき事である。念仏により三昧を発得する事こそその目的なのである。

語句の説明

三昧発得(さんまいほっとく)
心が深い静寂と集中を実現した禅定の中で仏を見る体験。念仏三昧発得とは自力ではなく阿弥陀仏の加念(加護の念力)によって凡夫が極楽浄土の様相や阿弥陀仏の姿を見ること(見仏)を指す。