和尚のひとりごと№2418「浄土宗月訓カレンダー7月の言葉」

和尚のひとりごと№2418「思い思われ手を合わす」

 

 「親縁(しんえん)」という言葉があります。中国、唐の時代の善導大師(613〜681年)は、「親縁」について次のように解釈しておられます。
「私たちが阿弥陀様を礼拝(らいはい)すれば、阿弥陀様もこれをご覧になられます。私たちが阿弥陀様の名を称えれば、阿弥陀様もこれをお聞きになられます。私たちが阿弥陀様を念ずれば、阿弥陀様も私たちのことを思ってくださいます。それゆえに阿弥陀様の三業(さんごう)と行者(ぎょうじゃ)の三業とが、それぞれ一致して、阿弥陀様も私たちも親子のようになるので、親縁と名づけるのです。」
 「三業(さんごう)」とは「身」と「口」と「意(こころ)」とで為す行為を言います。阿弥陀様と私たちの三業が一致するので、まさに親子のごとくと説かれるのです。
子どもにとって虫歯がないことは、親からもらえる大切なプレゼントの一つと言われます。特に母親が妊娠中や出産後から口腔ケアを意識し、自身の虫歯や歯周病を治療して健康な口内環境を保つことは、子どもの歯の健康につながる可能性があります。生まれた赤ちゃんのお口の中には虫歯の原因となる細菌はほとんど存在しません。しかし赤ちゃんの食べ物を柔らかくするために、親がその食べ物を噛み砕いたり、親が使った箸で口に移したり、熱い食べ物を冷ます息などを介して細菌が移る可能性があります。それが子どもが虫歯になる原因となるのです。そのため現在では口移しや同じスプーンや箸、お皿の共有を避けることが勧められています。大切なのは「口移しをしたかどうか」ではなく、「子どもの健康を願って行動すること」です。ですから母親や家族が日頃から口腔ケアを行い、子どもにも正しい歯磨き習慣や定期的な歯科受診を身につけさせることは、一生使う歯を守るための何よりのプレゼントになるのです。もし今、虫歯のない健康な歯であるならば、赤ちゃんの時に母親が我が子を思い、しっかりと口腔ケアをしてくださったのかもしれませんね。
阿弥陀様は、私たちを救いたいという願いをもち、「わが名を称える者を必ず救う」とお誓いになられました。その願いを成就するために長い間ご修行を積まれ、阿弥陀という仏様となられました。私たちは南無阿弥陀仏と名号を称えれば必ず阿弥陀様は救ってくださりと、いつも私たちのことを思い続けてくださっているのです。親が子どもの幸せを願って惜しみなく尽くすように、阿弥陀様もまた、私たち一人ひとりを決して見捨てることなく、親のような深い慈しみをもって寄り添ってくださいます。「親縁」の御心をいただくとき、私たちは阿弥陀様の大きな慈悲の中に生かされていることに気づかせていただくのです。思い思われ手を合わし、日々共々にお念仏を申して過ごして参りましょう。