雑記

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和尚のひとりごとNo.93 「師走」


十二月に入り、今年(平成二十七年)も残り少なくなってきました。

ところで、十二月のことを、昔から師走と呼びますが、昔とはいつぐらい前なのでしょうか。平安時代の頃にはすでに十二月のことを師走と呼んでいたようですが、はっきりとした起源は不明だそうです。

では、師走とはどういう意味なのでしょうか。

そのまま、「師が走り回るほど忙しい」という意味です。

ここでクイズです。この「師」とは誰のことでしょうか?

① 華道(生け花)のお師匠さん
あちらこちらにお正月用のお花を生けるのに忙しいです。

ちなみに浄土宗には華頂流という生け花の流派があります。


② 落語や漫才などの芸人のお師匠さん
年末年始のテレビなどの特番に忙しいです。

③ 学校の先生
テストや通信簿の作成、年が明けると受験シーズンになるので忙しいです。

④ お坊さん
年末は、普段はゆったりしているお坊さんでも走り回るほど忙しいです。

① から④番のうち正解はどれでしょうか。
(和尚のひとりごとで問題にしている時点で答えは出ているようなものですが。)

正解は最後で。

十二月は「師馳(は)せ月」ともいい昔からお正月は盆と同じように祖先の霊をともらう月で、お坊さんが、お経をあげるために、あちこちの家を忙しく走りまわったのが由来といわれています。

「師」とは、お坊さんのことを「法師」と呼ぶことからきています。

※「師走」については諸説ありますが、「師は僧侶」説をとらしていただきます。

玉圓寺でもお正月一月一日には、ご先祖様を敬い一年の安全を願う修正会(百燈明)を行っています。

和尚のひとりごと「正座について」

今回は正座の歴史について書いていきたいと思います。生活様式の変化からなかなか正座をする機会が無くなってきた今日、法事の時など慣れない正座で足が痺れて法事の事などそっちのけという方も少なくないのではないでしょうか?
 
 正座は日本に古くからある一般的な座り方であると思われている方も多いと思いますが、意外にその歴史は新しく正式な座法となったのは近世になってからであり、千利休が「茶道」を完成させ正座を基本として定めてから後の事だと言われています。
 
 それ以前にも正座と言う座法は一応あったものの、神道での神や、仏教での仏像を拝んだりする時の座法でした。そのため一般にはあまり普及しておらず、日常では胡坐(あぐら)や立ち膝で座るのが一般的でした。同様に近世期の武士においても正座は『膝を屈する』最大の屈辱と考えられていて、主君や親の前でも正座はしなかったと言われています。
 
 正座が広まったのは江戸時代の参勤交代のときに将軍の前では大名達は正座をするように取り決められ、それから各地に広まったという説や、近世期に畳が普及し始めたというのも大きな要因であると思われます。しかしながら畳は高価なものであり正座が庶民に広まったのは江戸末期位からだと言われています。
 
 正座が一般に広まりだして約400年。仏教伝来はもっと以前になりますから、意外にその歴史は浅いのかもしれませんね。

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